警備業における有給休暇の義務化はシステム活用で解決できる!
働き方改革の推進に伴い、いよいよ2019年4月から日本でも有給休暇の義務化が始まりました。
新制度の導入に伴い、現場では事務作業の増加などの負担が増えていると思いますが、それらの問題はシステム導入によって解決できることをご存じでしょうか。
本記事では、有給休暇の義務化について改めて内容や問題点を整理した上で、警備業向け管理システムがこれらの問題点をどう解決できるのかご説明します。
おすすめの警備業向け管理システムもご紹介しますので、警備業に携わる方で、社員の有休の管理をされている方はぜひご一読ください。
日本における有給休暇の取得状況
まず日本における有給休暇の取得状況ですが、令和2年に厚生労働省が発表したデータによると、企業が付与した年次有給休暇日数は労働者1人あたり18日で、そのうち労働者が取得した日数は10.1日でした。
この日数から分かるのは有給休暇取得率は56.3%で、昭和59年以降過去最高の取得だということです。
また日本における有休の取得日数は、世界的に見ても大変低く、2019年にエクスペディアが行った調査では、欧米諸国やアジア各国の19か国の中で日本は最下位という状況です。
さらに日本の休暇取得の特徴として、短い休暇を複数回取得する割合が高いということも分かっています。
2019年4月施行の有給休暇の義務化とは?
このように働き方改革が推進されているとはいえ、日本の多くの企業ではまだまだ有給休暇を気軽に取得する風潮ではないのが現実なのではないでしょうか。
そこで2019年4月から施行されたのが「有給休暇の義務化」です。
有給休暇の義務化は改正された労働基準法で定められおり、「年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させる義務がある」とされています。
義務化の対象となるのはすべての企業です。
「時季を指定して」というのは、使用者が勝手に決めてよいという意味ではありません。
労働者の意見を聞き、その意見を尊重した上で指定するよう求められているので、現場の運用で勘違いされないよう注意が必要です。
そもそも休暇に関する事項は就業規則に記載しなければならないので、時季指定の対象者や方法などについても記載する必要があります。
もし有給休暇の義務化に違反した場合には、従業員1人あたり30万円以下の罰金を課せられるとされています。
処罰については労働基準監督署の裁量に任されているものの、万が一全従業員で有給休暇取得が進んでいなかった場合には、最大で従業員数×30万円の罰金となるため、企業にとっては大きなリスクとなるでしょう。
そのため企業側は必ず対象者となる労働者全員に、期限内に有給休暇を取得させなければなりません。
有給休暇の義務化は警備業も範囲内?
この有給休暇の義務化はもちろん警備業も範囲内となります。
警備業は、他の業界と比べてさまざまな雇用形態の労働者が多い点が特徴です。
正社員はもちろん、派遣社員やパート、アルバイトの従業員であっても、条件を満たせば有給休暇の義務化の範囲内となるので、注意しなくてはなりません。
具体的に言うと、正社員、契約社員(フルタイム)は、入社後6か月から有給休暇が発生します。
パートやアルバイトでも、週4日出勤が3年間以上、もしくは週3日出勤で5年半以上勤続しておりかつ直近1年間で8割以上出勤しているという条件が揃えば、義務化の範囲内となります。
したがってすべての従業員の雇用形態や、パートやアルバイトの出勤状況、勤務年数などを把握し、しっかり管理するよう努めなくてはなりません。
有給休暇の義務化に伴う警備業における問題点とは?
従業員が年5日以上の有給休暇を取得することで、心身ともにリフレッシュできればモチベーションも上がり、業務効率性も上がるので、有給休暇の義務化は企業にとっても大切な制度です。
ただし、警備業においてはいくつかの問題点が発生することも考えられます。
以下詳しく説明しましょう。
有給休暇取得日数の管理工数が発生
1つ目の問題点は、有給休暇取得日数の管理工数が発生するということです。
前述したように、正社員やフルタイムの契約社員では、入社から6か月で有給休暇が発生します。
どの社員に有給休暇が何日付与されているのかを把握し、さらにそのうち何日を消化しているのか管理しなければなりません。
パートやアルバイトの場合は、勤続年数を確認し、出勤率を計算しなければなりません。
勤続年数についても、会社や従業員本人が把握している年数と異なる場合があるので注意が必要です。
契約更新や再雇用契約、雇用形態の変更、休業期間などがないかどうか正確に把握しておかなければなりません。
出勤率は、「出勤日数÷全労働日」で計算できます。
ただし「全労働日」と一言で言っても、会社が不可抗力で休業した日があるかを調べたり、就業規則によって定められた所定休日を除いたりしなければならないため、その計算は楽ではありません。
その上で有給休暇が付与されているのであれば、日数を管理し、正社員と同じようにそのうち何日が消化されているのかまで管理する必要があります。
このようにそれぞれの従業員の有給休暇取得日数を管理するときには、膨大な管理工数が発生します。
特に警備業においては、さまざまな雇用形態の警備員が大量に登録されている場合も少なくないため、休暇日数の管理の手間、人件費を始めとしたコストは、大きな問題となってくるのです。
有給休暇を反映した給与計算が必要
2つ目の問題点は、有給休暇を反映した給与計算が必要になるということです。
有休を取得した場合には、労働基準法で認められている方法において給与計算をしなければなりません。
一番簡単なのは、有休取得した日を通常通り出勤したとみなして計算する方法ですが、平均賃金から計算する場合や健康保険料の算定で使う「標準報酬月額」を用いる場合なども認められています。
いずれにしても、自社の就業規則で定められた計算方法を用いて、有給休暇を反映した給与計算をしなければなりません。
有給休暇の希望を確認、もしくは時季指定の必要性が生じる
3つ目の問題点は、有休の希望を確認したり、時季指定をしたりする必要があるということです。
有給休暇の取得は、原則として労働者からの申し出により、その権利を行使できるものです。
しかし複数の従業員が同じ日に有給休暇を取得してしまっては、通常の業務が回らなくなってしまう場合があります。
そのため多くの企業では、あらかじめ従業員からの希望を聞いた上で、同じ日や繁忙期になるべく重ならないよう、有休の取得日を調整してもらっているのではないでしょうか。
全員が同じ事業所に出社している企業であれば、有休の希望日をカレンダーを貼りだしたり、全員に回覧して書き込むなどの方法でも管理できますが、警備業では事情が異なります。
ほとんどの警備会社では、警備員は現場への直行直帰となっており、本社などの事業所に定期的に出社することはありません。
そのため警備業の場合、個別に希望日を確認しなければならず、大変手間がかかるという問題があります。
また2019年4月からは義務化と同時に、有給休暇を取得していない従業員に対して、使用者がその時季を指定できるという制度が始まりました。
そのため使用者側は労働者の有給休暇の取得状況を把握した上で、希望日を聞きつつも、場合によっては時季指定をして有給休暇を取得させなければなりません。
年次有給休暇管理簿の作成と保存の必要
4つ目の問題点は、年次有給休暇管理簿の作成、保存の必要があるということです。
年次有給休暇管理簿とは、各従業員が有給休暇を取得した時季、日数、基準日を記載した書類を指します。
形式としてはExcelやWordのようなソフトで作成したもので良いのですが、作成した年次有給休暇管理簿は3年間の保存が義務化されているのです。
年次有給休暇管理簿は、警備業において有休未取得者を把握するためにも大切な書類となります。
もし従業員の有休取得状況をきちんと把握しないまま、基準日から1年近く経過してしまえば、複数の従業員に同時に有休を取得させなければならない事態が起こり得ます。
警備業でこのような駆け込み的な有給休暇取得が重なれば、クライアントから依頼された通りの警備業務が行えなくなる可能性があるでしょう。
このような事態を避けるためにも管理簿を作成し、有給休暇取得状況を把握しておく必要があるのです。
有給休暇の義務化に伴う問題点も警備業向け管理システムなら解決できる
以上、有給休暇の義務化に伴う警備業の問題点について解説いたしました。
実はこれらの問題点は、警備業向け管理システムを導入することで、簡単に解決することができます。
警備業向け管理システムとは、警備業に特化した事業管理システムのことです。
ここでは特に警備業向けの基幹管理システムを導入することで、有給休暇の義務化に伴う問題点をどのように解決できるのかご説明しましょう。
勤怠データを一元管理できる
御社では、勤怠データをエクセルや勤怠管理システムで管理していませんか。
有給休暇の義務化においてまずやらなければならないのは、従業員の勤怠データを把握し、有休取得状況を確認できるようにしておくことです。
警備業向け管理システムを導入すれば、勤怠データを一元管理できるようになります。
社員の出勤、退勤時間や警備員の上下番報告時刻のようなタイムカード的な記録だけでなく、それぞれの従業員の雇用形態や勤務状況なども紐づけて管理することが可能なところがポイントです。
一元管理することで、勤怠管理以外の業務と連携もでき、さまざまな事務作業を自動化できます。
有給休暇取得状況を把握できる
警備業向け管理システムは、有休取得状況を把握することにも役立ちます。
システムにはあらゆる情報が一元管理されているので、いろいろな切り口で情報を見ることができます。
例えば、各警備員ごとの有給休暇取得状況を確認することもできますし、有休取得日数が少ない従業員だけを一覧で確認することもできます。
同じチームの有給休暇取得状況が把握できれば、時季指定をする際の調整にも役立てられるでしょう。
有給休暇を反映させた給与計算も簡単
前述したように情報が一元管理できる基幹システムであれば、有給休暇を反映させた給与計算も簡単にできます。
各従業員の雇用形態や給与形態と、勤怠データが連携されているので、そこから有給休暇を反映させた給与計算も、勤怠管理システムを見ながらエクセルで計算する必要はありません。
警備業向け管理システムの中で自動的に計算されるので、手間がかからないだけでなく、給与計算に伴う人為的ミスもなくなります。
有給休暇の義務化に対応した警備業向け管理システム「GUARD EXPRESS(ガードエクスプレス)」とは
有給休暇の義務化に対応した警備業向け管理システムをご検討の方に「GUARD EXPRESS(ガードエクスプレス)」をご紹介します。
ガードエクスプレスは、警備業に特化した基幹業務システムで、警備業に関するあらゆる情報を一元管理することが可能です。
ガードエクスプレスの「警備員マスタ」には、各警備員の履歴書的な情報が一元管理されています。
「警備員マスタ」の「有給」項目では、有給休暇の起算日や週所定労働日数を指定すれば、自動的に有給休暇が付与された日数、勤怠で有給休暇が消化された分の履歴を確認することができるようになっています。
また「有休」の管理画面からは「有休残高一覧表」を表示できます。
スタッフの氏名と共に、有休起算日、所定対象日数、有給残日数を確認できるので、早めに有給休暇の取得を促すことが可能になります。
有給休暇の2年間の繰り越しや消滅も自動処理されるので、わざわざ手計算する手間はありません。
このようにガードエクスプレスであれば、有給休暇の義務化に伴って特別なことをしなくても、普段の業務管理システムとして利用しているだけで、有給休暇の義務化にも対応できます。GUARD EXPRESS(ガードエクスプレス)の詳細はこちら
まとめ
有給休暇の義務化においてもし処罰を受けた場合、罰金という経済的な打撃があるのはもちろんのこと、顧客や警備先などの取引先からの社会的な信用を失ってしまったり、既に働いている従業員が辞めてしまったりするなど、多大なリスクがあります。
この機会にぜひ警備業向けシステムを導入し、抜け漏れなく有給休暇の義務化に対応できるような体制を整えていきましょう。