警備業法とは?警備会社が守るべき警備業法の基礎と管理方法について

2022年7月20日

警備会社は、さまざまな施設が警備先の対象です。ライフライン施設や公共施設、企業が保有する施設、個人宅まで、警備会社の警備業務は非常に幅広く、多岐に渡っているのがわかります。

警備会社を立ち上げると、警備業法に基づいて業務を遂行しているかどうかを行政にチェックされます。警備業法を守っていなければ、営業の停止や警備業の認定を取り消されてしまう場合もあります。

警備業法の違反で「罰金」となると、5年間は事業を行うことができません。

警備業法をしっかりと守るという高い意識が、警備会社には大切といえるでしょう。

警備業法とは?

警備員・警備会社は、警備業法と呼ばれる日本独自の法律を遵守しながら、運営することになっています。さまざまな現場で犯罪や事故に警戒しながら、未然に防ぐという責任ある業務を、警備員は警備業法に沿って行います。

警備業法は、ルールにそった警備業務を行えるようにすることを目的としており、また、警備業の種類は多岐にわたり、それぞれの責務は異なる点が多いです。そこで警備業法では、1号業務から4号業務までの4種類に警備業務を分類し、依頼に応じて業務の種類が明確になるように定めています。

1号業務は、事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等で起こる可能性がある盗難などの事故の発生を警戒し、防止する業務です。空港で行われている金属探知機やX線検査で、機内への持ち込み手荷物をチェックする業務も1号業務に含まれます。

2号業務は、人や車が雑踏する場所、または通行の危険がある場所で、負傷などの事故の発生を警戒し、防止する業務です。工事現場などでの交通誘導や、コンサート会場などの大きなイベントで行う案内や規制などが2号業務にあたります。

3号業務は、運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務です。大きく分けて貴重品輸送警備と核燃料物質等危険物運搬警備業務の2種類があります。

4号業務は、いわゆる護衛(ボディガード)と呼ばれる業務を行います。政治家や芸能人などの個人と契約したり、所属事務所と契約したりと、契約相手はさまざまです。

2019年に警備業法が改正

2019年(令和元年)8月30日に警備業法が2005年(平成17年)11月21日以来、約14年ぶりに改正されました。(同日に施行)

以下が変更点です。

  •  警備員教育における教育時間数及び教育頻度の見直し
  •  警備員教育の実施可能な講義の方法の拡大
  •  検定合格者(空港保安及び雑踏警備業務)の配置基準の見直し
  •  登録講習機関による講習会の実施基準の見直し

※広島県警察HP「警備業法施行規則の一部を改正する内閣府令等の施行について」より引用

今回の改正では、警備員教育に関する2つの大きな影響を与えました。

①新任教育の「基本教育」と「業務別教育」が統合され、教育時間が今までの3分の2に短縮

②現任者向けの教育(現任教育)実施頻度が「半年に1回→年1回」へ変更

現在、警備業界では深刻な人手不足に陥っていることから、入社後の研修期間を短縮し現場登用までのリードタイムを早めることで、人材の即戦力化を狙っています。また、現任教育の実施頻度が変わり、現場の負担が軽減されたことで、より現場に集中することができるようになりました。さらに、電気通信回線を使用した警備員教育の実施が許可され、いつどこでもWebを利用した研修(講習)が可能になりました。

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よくある警備業法の違反事例

警備業法を意図せず違反してしまうケースがあります。よくある違反事例を見ていきましょう。

警備員の違法派遣

警備業法で「違法派遣」にあたるケースが、自社の警備員では人手不足のため、他の警備会社に依頼した場合です。他の警備会社に依頼すること自体は違法ではないのですが、適切な対応をとらないと、営業停止になったり、「指導教育責任者証の返納」をしなければならなかったりする可能性があります。また、違法派遣は「派遣した警備会社」と「依頼した企業」の両者が営業停止処分になるため、とても重い処罰です。

この事例の対策方法は、「依頼した企業」と「派遣した警備会社」「応援を頼んだ警備会社」で、契約をしておくことでしょう。自社だけでなく、「応援を頼んだ警備会社」と「依頼した企業」の間で契約すれば違法派遣にはなりません。

警備員への教育懈怠

警備業法で「教育懈怠」にあたるケースが、新人の警備員に教育をしないまま業務に就かせた場合です。

「教育懈怠」は、違法派遣とほぼ同等の処分となりますが、「営業停止」においては内容が異なります。警備員のうち、教育を受けている警備員の割合で、営業停止期間の基準が7日~1カ月と幅があるのが特徴です。

  • 50%未満:1カ月
  • 50%以上70%未満:14日間
  • 70%以上90%未満:7日間
  • 90%以上:指示処分

この事例は、急な依頼や欠勤などで、人数不足になると起こりやすいでしょう。

教育実施簿の虚偽記載

警備業法で「虚偽記載」にあたるケースが、立入検査に対応するため、教育が済んでいない警備員を教育済みと偽り、教育実施簿に記載する場合です。

通常であれば、立入検査は年に1回行われ、ルールに沿った「警備員名簿の作成」や「教育実施簿の内容」など、厳しくチェックされます。不正の疑いがある警備会社は、年に1回以上の立入検査が行われることもあります。

「教育実施簿の虚偽記載」が判明すると、関わりのある警備員指導教育責任者は、30万円以下の「罰金」に加え、「資格の剥奪」といった重い罰則が課せられます。

警備業法を違反した場合、どんな罰則がある?

前述したように、警備業法に違反すると、「営業停止処分」や「指導教育責任者証の返納命令」「罰金」といった重い罰則が課されます。しかし、営業停止などの重い罰則を課される前に、「研修実施の指導」や「再発防止対策の報告書の作成」といった「指示」が出ることもあります。「指示」とは、営業停止処分の「一歩手前」の状態であり、従わないと警備業法にそって「営業停止」または「100万円以下の罰金刑」もしくは「認定取り消しの処分」が下されます。

警備業法の違反した場合であって、指示が出るケースについて2つの例を見てみましょう。

  • 書類不備:期限を設けて書類の完成を促す
  • 道路交通法を守らずに誘導する警備員:警備員を仕事から外すように指示

この「指示」を従わないと、6カ月以内の期間で営業を停止しなければなりません。加えて、営業停止になったにもかかわらず仕事を続けると、「1年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」もしくは「警備業の認定が取り消し」となってしまいます。

また、警備業法違反に対する罰則は「罰金」であることが多く、罰金を支払うと警備業を続けられません。理由としては、警備業法3条の「警備員・警備業者の欠格事由」のなかに罰金刑が含まれており、罰金を払うということは欠格事由に該当するからです。欠格事由に該当した場合、認定が取り消けされ、加えて5年もの間、警備業者・警備員になれません。5年間のブランクを得て、また最初から会社を築き上げるのは困難となりますので、認定の取り消しは事実上、警備業界からの追放といえるでしょう。

さらに、前述したとおり、警備業法には両罰規定があり、自社だけでなく依頼会社にも罰則を課します。これは、法人など組織ぐるみで行われる違反行為を封じ、適切な警備業が行われるようにするためといわれています。

では、具体的に罰則例を見ていきましょう。

警備業法56条によって、営業停止を守らず営業した者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課されます。警備業法57条による100万円以下の罰金が課せられる例は以下です。

  • 認定が下りる前に警備業を行った
  • 認定の有効期限が切れているにもかかわらず警備業を行った
  • 名義貸しを行った
  • 契約前書面や契約後書面を渡していないなど契約等に関わる書面上の警備業法違反した
  • 指導教育責任者を選任していない
  • 機械警備業務の届出をしていない
  • 指示違反をした

他にも、30万円以下の罰金となる違反例などがあり、いずれにしても罰金を支払うことで、5年間は警備業ができません。

警備業法を違反してしまう原因は?

警備業法を違反するリスクは非常に大きいですので、多くの企業が警備業法に違反しないよう尽力していることでしょう。それでも、意図せず警備業法に違反してしまう可能性もあります。

ここでは警備業法を違反してしまう原因について考えてみましょう。

警備員の人数が多く管理が大変

警備員数が多いほど管理が複雑になるため、警備業法に違反してしまうリスクが高まりやすいでしょう。管理において、一人ひとりの出勤時間や退勤時間、給料計算、シフト管理など警備会社の内勤スタッフが行う作業は非常に煩雑です。

出勤時間が重なる時間は、屋外の現場で働くスタッフへの電話対応に追われることでしょう。シフト管理も、それぞれの現場でスタッフの経験などをふまえて、日勤と夜勤の組み合わせを考えなければなりません。人員不足の現場に応援に行くスタッフがいる場合は、移動時間をふまえたシフトを考える必要があるでしょう。体調不良などで欠勤者が出た時は、対応できるスタッフを探さなければならず、警備業界のシフトはとても複雑になりがちです。

また、屋外などタイムカードを使用できない現場では、出勤時間や退勤時間は基本的に本人の申出を信用するしかありません。さらに、勤怠記録は現場ごとに行いますが、給料などの計算はスタッフごとに行うため、集計のための確認作業は非常に多くの時間と手間がかかるでしょう。勤怠をタイムカードなどで管理できないことは、警備業界の大きな悩みの1つといえます。

このように、警備員が多ければ多いほど管理が煩雑になり、警備業法を遵守するための時間の確保が難しくなるといえるでしょう。

警備会社の業務負荷が大きい

前述した通り、警備会社の業務負荷は、とても大きいです。警備会社は、上記のような管理をしながら、警備業法に違反しないように、スタッフへの教育や各部署の管理を行わなければなりません。

できる限り、シフト管理や給料計算などシステム移行できる業務は簡略化し、警備業法に違反しないよう管理することを中心とした業務体系を目指した方がよいといえます

警備業法を遵守して健全な企業経営を実現するならシステム利用がおすすめ

警備会社の負荷を軽減するためには、警備業向けの「管理システム」を利用するのがおすすめです。ここでは、システム導入をおすすめする理由と「GUARD EXPRESS」についてお伝えします。

警備業向け管理システムのメリット

警備業向けの「管理システム」を導入すると、勤怠管理の負担が大幅に軽減できます。

例えばシステムを利用していない企業であれば、勤怠のために電話対応しているケースがほとんどかもしれません。管理システムを利用すると、スマートフォンアプリを使って勤怠管理ができるので、電話対応や入力のための時間や手間が省かれ、業務効率の向上が期待できます。

さらに、スマートフォンを使った勤怠管理は、GPS機能を利用することで、正確な位置情報を把握・記録できるため、不正申告の防止も可能です。シフトや勤務時間、給与の計算や支払いの確認なども、一元的に把握できます。

また、クラウド型の管理システムを導入すると、特定のパソコンでなくても作業が可能となるため利便性が高いです。システムにログインすれば作業ができるため、複数人で同時にシステムを操作したり、在宅勤務でも作業ができたりする点は、メリットといえるでしょう。

依頼会社とのやりとりが簡単に行えるシステムでは、契約書やシフト表、勤怠管理などをクラウド上で共有できます。

管理システムの導入を検討する際は、サービス内容や相違点をチェックしましょう。

警備業向け管理システム「GUARD EXPRESS」とは?

警備業向けの管理システムである「GUARD EXPRESS」は、警備業向けの管理システムと警備業法の遵守に必要な業務を一括管理できます。ここでは、「GUARD EXPRESS」の特徴について説明します。

1つは、警備業で欠かせないスタッフの確保から始まって契約や支払いまでのさまざまな情報を一元管理できる点です。依頼者向けのサービス「PARTNER」や警備員向けのサービス「NEO」、スタッフ採用向けのサービス「ENTRY」を利用すると、警備会社・顧客・スタッフの業が容易に連携できます。

また、継続的に品質向上のためのブラッシュアップを行っている点も特徴の1つです。定期的なアンケートを実施することで、地域や地理によって差が生まれないよう改善を行い、日本全国どこでも同等のサービスを利用できるよう取り組んでいます。

発売当初から品質の向上を目指して、改修や改善、機能拡張を行い、シフト管理や給料計算だけでなく警備業法を遵守できるよう改善してきました。改善項目は、10,000点以上です。何度も改善を繰り返すことで得られた警備業向けの管理システムのノウハウは、警備業界の変化にも十分対応できるものとなっています。

さらに、有償になりますが、各警備会社に合わせて「管理システムをカスタマイズ」することも可能です。デフォルトの仕様を変えることで業務効率の向上が望めたりする場合、要望に合わせたサービスをカスタマイズできます。より自社に合った管理システムにアレンジすることで、警備業法を遵守しながら管理業務を行うことが可能です。

GUARD EXPRESS(ガードエクスプレス)の詳細はこちら

システム利用で警備業法をしっかり守っていきましょう

ここまで、警備業法に関する詳しい説明や、警備会社が守るべき警備業法の基礎と管理方法について紹介してきました。

警備業法は、令和元年の改正により、警備業を営んでいる多くの企業が対応に苦労しているかもしれません。警備業法違反の罰則はとても厳しいですが、人々の生命や財産を守る大切な法律です。警備会社・警備員共に活躍するためにも、警備業向け管理システムを利用して健全な企業経営を目指しましょう。