警備業(警備員)の「新任/現任教育」とは それぞれの内容を詳しく解説

近年、社会情勢の変化と共に警備業への期待はますます高まっています。

警備会社は取引先からより高い質の警備を求められるようになっており、各警備員の教育の徹底は不可欠です。

また警備員自身も日々アップデートされる知識や時に自分自身を守るための技術などを身につけ、より安全に働きたいと感じているでしょう。

本記事では、警備業における警備員の新任/現任教育について、今一度それぞれの内容を整理し、詳しく解説します。

警備員の教育状況の管理を楽にするシステムもご紹介しておりますので、警備会社で警備スタッフの教育を担当されている方はぜひ最後までお読みください。

警備業の「新任/現任教育」は法定教育制度

警備業は世の中の安心・安全を担う重要な業務です。

そのため警備業法では、警備員が適正に警備業務をおこなえるよう、法定教育制度としてその内容や時間について定めています。

内容は大きく分けて、新任教育と現任教育の2種類があり、どちらも警備員指導教育責任者の資格を持っている人が担当することになっています。

警備員指導教育責任者は国家資格であり、警備業を開業する場合には必ず必要になる資格です。

したがって警備会社には必ず自社に警備員指導教育責任者の資格を持つ人がおり、警備会社の多くは、自社で新任/現任教育を実施していることでしょう。

ただし昨今の新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴って、新任/現任教育を実施する際の人数が制限されてしまい、一気に研修ができないという場合も多々あるようです。

そのため講師の日程が合わないなどの事情から、自社での研修が難しい場面もあるかもしれません。

自社での研修が難しい場合には、各都道府県の警備業協会に講師を委託することもできるので問い合わせてみてください。

それではさっそく、新任/現任教育について詳しくご説明していきましょう。

新任教育とは

新任教育とは、警備業未経験の人がこれから警備の仕事を始めるにあたって、最低限知らなくてはならないことを学ぶものです。

正社員だけでなく、契約社員や派遣社員、パートやアルバイトといった雇用形態であっても、警備員として働く以上は必ずこの教育を受けなければなりません

警備員の人材募集広告などにはよく「未経験者歓迎」と書いてありますが、もし警備業未経験者が応募し採用された場合には、必ず新任教育を受けてからでないと実務に就くことはできません。

逆に言えば、未経験者でも研修制度が充実している警備業は、それだけ社会的な責任が重いと言えるでしょう。

新任教育の研修期間中は、最低賃金以上の給与を支払わなければならないので支払い漏れがないよう注意しましょう。

現任教育とは

現任教育とは、既に警備員として働いている人が年度ごとに新しい知識を学ぶものです。

その目的は、仕事の質の維持や向上です。

現任教育にも、「基本教育」と「業務別教育」の2種類があり、新任教育に比べてそれぞれの業務や実際の現場で求められる知識を学び、警備員としてより高い能力を得られることを目指しています。

現任教育についても最低賃金以上の給与を支払う必要があります。

警備業の教育時間と内容

それでは新任/現任教育それぞれの教育時間および内容についてさらに詳しく見ていきましょう。

新任教育の教育時間と内容

新任教育の教育時間は、「基本教育」と「業務別教育」を合わせて20時間以上です。

2019年に警備業法が改正されるまでは、基本教育と業務別教育がそれぞれ15時間ずつの計30時間でしたが、改正されたことで約三分の二の時間数に変更されています。

過去3年間で通算1年以上警備員の経験があったり、警察官経験が通算1年以上あったりすれば、一部の時間が減免されます。

警備関係の経験や資格がある人について、何がどのくらい減免されるのか個別に異なりますので、詳しくは各都道府県の警察署などに問い合わせてください。

新任教育の内容については、以下のようになっています。

◆基本教育

新任教育の「基本教育」とは、警備業務のどの業務にも共通する内容のものです。

具体的には次の5つについて学びます。

 

・警備業務の基本原則
・警備員の資質向上に関連すること
・警備業に関係する法令
・事故発生時の対応や応急措置
・護身用具の使い方や護身方法

 

◆業務別教育

一方、新任教育の「業務別教育」は1号から4号のどの業務をおこなうかによって内容が異なります。

1号業務は、施設警備、巡回警備、保安警備、空港保安警備、機械警備を含む業務で、日本における警備業務の半数を占めています。

2号業務は、交通誘導警備、雑踏警備などの業務で、交通安全や大規模イベントを安全に開催するために不可欠な警備業務です。

3号業務は、貴重品運搬警備、核燃料物質等危険物運搬警備の業務です。

現金を始め貴金属や美術品を犯罪者から守るもので、特殊車両の運転も同時に担う場合があります。

4号業務は身辺警備いわゆるボディーガードの業務で、依頼者の生命や安全を守る業務です。

このように一言で警備業務と言っても、その業務内容はさまざまとなるため、業務別教育が義務付けられているのです。

例えば交通誘導警備員として働くことが決まっているのであれば、交通誘導に特化した技能や専門の知識を学ぶことになりますし、商業施設などで施設警備員として働く人は施設警備に必要なことを学びます。

現任教育の教育時間と内容

現任教育の教育時間は、年度ごとに「基本教育」と「業務別教育」を合わせて10時間以上受けることになっています。

警備会社によってこれらの教育以外にも独自の研修制度を用意していることがあります。

現任教育についても、2019年に法改正があったため、自社が古い情報を使っていないかどうかこの機会に確認しておくとよいでしょう

現任教育についても、資格や経験に応じて一部教育が免除されたり、時間の短縮が認められたりすることがあります。

詳しくは各都道府県の警備業協会や警察署などに問い合わせてください。

現任教育の内容についてですが、具体的には近年改正された法律について学んだり、さらに警備のクオリティを上げるために必要な技術などを学んだりします。

現任教育の内容は決まっているのですが、実施方法や詳しい研修の方法などは、各警備会社のカラーが出やすいようです。

毎年おこなうので警備会社の講師側からするとネタ切れになるのが悩みという声も多く聞かれます。

実際のケーススタディやグループワークを取り入れるなど、各社工夫をしているようです。

2019年の法改正により、以前は対面授業だけに限定されていた研修方法が、eラーニングのようなインターネットを介した教育方法でも認められるようになりました。

自社での研修が日程上難しかったり、内容がマンネリ化してしまったりという問題を抱えている場合には、外部の研修会社などのeラーニングを利用するのも手です。

目新しい内容を提供できたり、自社の教育担当者の負担を軽減したりすることにつながるかもしれません。

警備業では教育は重要視されている

このように時間数や内容を見てお分かりいただけるように、他の業界に比べて警備業における教育は大変重要視されています。

その大切さは警備業法において定められている点、あらゆる指導、検定制度が設けられていることに象徴されるでしょう。

警備業法で定められている

警備員の教育については、警備業法施行規則38条の中で内容や時期などについて詳細までが法律で定められています。

警備業法では、警備員に教育をおこなった場合、その実施状況について記入した「教育実施簿」と呼ばれる法定書類を作成し、警備業者はそれを備えつけ保管しておかなければならないと定められています。

警察による年に一度の立ち入り検査の際、教育実施簿が適切に作成されていなければ、5年間警備業界から追放されてしまう恐れがあるのです

それほど厳しく管理されており、これを怠ったり虚偽の内容を記載したりすれば会社の存続が危うくなると言っても大袈裟ではありません。

あらゆる指導/検定制度が設けられている

警備業では、あらゆる指導や検定の制度が設けられているのも特徴です。

まず指導制度についてですが、前述したように警備員指導教育責任者が指導を担当することになっています。

検定制度については次の6つの種別があり、それぞれについて1級および2級の区分があります。

 

①空港保安警備業務

②施設警備業務

③雑踏警備業務

④交通誘導警備業務

⑤核燃料物質等危険物運搬警備業務

⑥貴重品運搬警備業務

 

上記に挙げた特定の種別の警備業務をおこなうときには、その種別の検定合格証明書を持つ警備員を配置することが法令で定められています。

なお機械警備業務については、警備員が現場で警備をするのではなく、現場から離れた場所から機械装置を利用して業務をおこなうという性質から、「機械警備管理者制度」という制度が別にあります。

機械警備業務をおこなう警備会社で教育を担当される方は、こちらの制度についても知っておく必要があるので注意しましょう。

警備業向けシステムなら GUARD EXPRESS

このように警備業においては教育制度が法律で厳格に定められていること、もし違反などがあれば業界追放や資格の剥奪、最悪の場合は会社が存続できなくなる可能性もあるほど大切であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

警備業の教育を法律に則りしっかりと管理するのにおすすめなのが、警備業向けシステムの「GUARD EXPRESS(ガードエクスプレス)」です。

ガードエクスプレスは警備業向けの基幹管理システムで、警備員情報の管理や上下番を始めとする勤怠管理、給与管理や顧客への請求関連情報などあらゆる情報を一括管理できます。

ガードエクスプレスを利用すれば、警備員の教育状況をシステム上で管理することができます。

具体的には次のような機能です。

 

・教育計画一覧表
・教育計画表
・教育実施一覧表
・教育実施簿
・教育時間集計表
・教育実施状況

 

これらの情報を警備員ごとに管理でき、さらに必要に応じて情報を帳票として出力することができます。

計画書や教育実施簿はシステムにしたがって入力していくだけで、抜け漏れなく正しいフォーマットで作成できるのでぜひ活用していただきたい機能です。

エクセルなどで一からフォーマットを作成する必要がないので、事務作業における労力を大幅に減らせます。

システム上で管理できるので保管する場所を取らず、警備員や任意のグループごとなど必要なデータに素早くアクセスできるのもメリットです。

保管場所の賃料もかかりませんし、必要なときにだけ帳票を印刷すればよいので無駄な紙代やインク代などのコストを大幅に削減することができます。

クラウドシステムでどこからでもアクセスできるので、もし該当する警備員が異動などで他の事業所に移った場合でも、わざわざ書類ファイルを新たな事業所に運ぶ手間はもちろん不要です。

警備員の氏名や顔写真、住所、学歴や職歴、警備業における経歴や資格、スキルといった警備員情報と、教育受講状況を紐づけることができるのも業務を効率化できるポイントのひとつです。

例えば警備員を案件に配置する場合に、その警備員がどのような教育を受けているのか、どの資格や検定合格証明書を持っているのかなどを参照できます。

その案件に対して最適な研修を受けた警備員を配置すれば、顧客からの満足度も上がり、継続した案件受注にもつながるでしょう。

またガードエクスプレスは、法令改正に即座に対応できる点も強みです。

教育関連の情報を紙やエクセル、あるいは自社独自のシステムで管理している場合、もし法令改正があったときには自社で対応しなければなりません。

しかしガードエクスプレスを導入していれば、法令改正の度に特別何かをしなくても、保守の範囲内で法令改正に対応しています。

この際、お客様から追加の費用は一切いただきません。

ガードエクスプレスを最新の状態で利用しているだけで、最新の法令を遵守しながら警備員の教育を推進できるので法令違反のリスクを避けることができます。

まとめ

警備業における法定教育制度の新任/現任教育についてご説明してきました。

昨今、さまざまな企業における不祥事問題で従業員の教育について取り沙汰されることが増えています。

何か問題が起きた場合、企業が従業員教育をしてきたのか厳しく問われるのは周知の通りです。

警備業はそれに加えて、法律で教育について厳しく定められています。

抜け漏れなく法律に則って適切な教育を受けさせ、その証明をいつでもできるよう、警備業向け基幹システムを活用して準備しておいてはいかがでしょうか。