警備会社の起業に必要な開業手続き方法や資格などを徹底解説
新型コロナウイルス感染症拡大により、多くの業界が打撃を受ける中、警備会社への需要は順調に増加しています。
令和2年度の警察庁の発表によると、警備業法第4条に基づく警備業の認定業者は10113業者(令和2年12月末現在)で、前年より205業者(2.1%)の増加です。
また警備員の数も588364人で、前年度から3.1%増加しています。
警備業界は今や約3.5兆円の市場規模となっており、今後ますますの需要を見込める業界だとも言えるでしょう。
そのような状況の中、自分で警備会社を起業しようと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、警備会社の起業にあたって必要な資格や起業までの流れ、必要な手続き、警備会社の効率的な運営までをまとめます。
警備会社の種類と業務内容
警備会社の起業を考える前に、整理しておきたいのが警備会社の種類と業務内容です。
警備業務は警備業法で次の4種類に分類されていますが、警備会社を起業するにあたって、どの種類で開業(起業)するかを決めておく必要があります。
その理由は、警備会社の種類によって取得する資格が異なるからです。
なお、開業(起業)の際に届け出た警備会社の種類とは違う業務をおこなった場合、警備業法違反となり、5年間警備業界から追放されてしまいます。
さらに警備会社の業務内容によっては、熟練したスキルが必要になるものもあり、経験がないままに警備会社を起業しても業務を遂行できる人材を確保できなかったり、安全に業務をおこなえなかったりという可能性もあります。
それでは警備会社の種類ごとにその業務内容を見ていきましょう。
一号警備業務(施設警備・保安警備)
一号警備業務とは、主に屋内の人が集まるような施設で、盗難や事故の警戒や防止を目的としておこなわれる警備業務です。
例えばオフィスビル、商業施設、公共施設、病院などの医療施設、学校、工場、駐車場のような場所を対象とした施設警備が代表的なものでしょう。
また夜間無人になるような施設の巡回警備も業務の一つです。
商業施設では、万引きのような犯罪や恐喝、暴力行為のようにお客様に不安を与えるような行為を未然に防ぐ保安警備を求められることもあります。
施設に常駐しない機械警備業務(一般家庭のホームセキュリティを含む)や空港保安警備業務も一号警備業務に含まれます。
二号警備業務(交通誘導・雑踏警備)
二号警備業務とは、人、車両の雑踏する場所や通行に危険のある場所における事故の警戒や防止を目的としておこなわれる警備業務です。
工事現場や駐車場で交通整理をしたり、歩行者が安全に通行できるよう誘導したりする交通誘導の業務が代表的なものでしょう。
また雑踏警備といって、お祭り会場やコンサート会場などのように混雑した場所で、事件や事故を防ぐ業務も二号警備に含まれます。
三号警備業務(貴金属・現金輸送警備)
三号警備業務とは、運搬中の現金、貴金属、美術品、核燃料輸送などの際、盗難等の事故の発生を警戒し、防止することを目的としておこなわれる業務です。
警備のみをおこなう場合もありますが、警備と同時に輸送をおこなう場合には運転技術の面においても高いレベルを求められます。
三号警備業務は重要度が高く、強盗などに遭遇するリスクも高まるため、警備会社を起業する際に三号警備業務を考えている方は、警備員の確保ができるのかどうか、警備員の適性があるかどうかまで充分見極める必要があるでしょう。
四号警備業務(身辺警護・ボディーガード)
四号警備業務とは、警備対象者の身体に対する危害の発生を警戒、防止する業務です。
いわゆるボディーガードと考えていただければよいでしょう。
例えば、政治家や芸能人、プロスポーツ選手などのように不特定多数から危険にさらされる可能性の高い人物を危険から守るのが、四号警備業務です。
有名政治家などであれば、SP(セキュリティポリス)と呼ばれる身辺警護がつく場合がありますが、これは警察による警護です。
四号警備業務のボディーガードは、あくまで民間の警備会社によるサービスなので、警察官のように拳銃所持などは当然認められていません。
警備会社を起業する際に四号警備業務に憧れを持つ方は多いかもしれませんが、実際の業務においては熟練したノウハウを身につけた警備員を抱えていなければならず、装備やさまざまなリスクに対応しなければならないことを考えると、簡単には起業できない分野とも言えるでしょう。
警備会社の起業(開業)に必要な資格は?
警備会社を起業するために必ずとらなければならない資格があります。
それは警備員指導教育責任者の資格です。
この資格を持った人がいないと、そもそも警備会社を起業するために必要な警備業としての認可を受けることができません。
そこで起業する本人が取得するか、警備員指導教育責任者資格を持っている従業員を雇うか、のどちらかが必須となります。
ただし資格を持った従業員を雇って警備会社を起業した場合、その従業員がなんらかの事情で退職すればただちに警備会社の事業を継続することができなくなってしまいます。
また警備会社の運営にあたっては、警備員指導教育責任者資格の知識がある方が断然よいことから考えると、まず警備会社を起業する本人が資格取得した上で起業するのが望ましいでしょう。
警備員指導教育責任者の資格を新規取得する場合には、まず受験資格を満たしていることが必要です。
例えば「受験する区分の業務に最近5年間で通算3年以上従事している」などの受験資格が必要なので、受験前に確認しましょう。
資格は前述した一号〜四号の4つの業務区分ごととなっており、5日から7日間の講習を受け、さらに修了考査で80%以上正解して初めて資格取得となります。
すでに警備員指導教育責任者の資格を持っている場合であっても、別の区分の資格を取得したい場合には、追加取得講習の受講が必須です。
追加取得の場合でもそれぞれ定められた日数の講習を受け、修了考査に合格して資格を取ることになります。
起業(開業)までの流れ
警備会社の起業(開業)までの流れは、前章でご説明した「警備員指導教育責任者」の資格を取得し、次章でご説明する「警備業の許認可」を受ければ完了します。
しかし警備会社を起業したあと業務を開始するためには、現実的には次のような準備が必要となります。
・制服
警察官と区別するため、デザインに一定の決まりが設けられています。
決まりを守って警備会社の制服を作成し、さらにそのデザインを公安委員会に届け出なくてはなりません。
・標章
警備会社の制服や制帽につける標章のデザインを決め、こちらも公安委員会に届け出なくてはなりません。
・装備品
護身用の装備や無線や拡声器のような用具を準備します。
装備については警備会社の種類の業務ごとに必要なものが異なりますので、起業した種類の業務で何が必要となるのか検討しましょう。
例えば第一号や第二号の警備の場合には、警棒の携帯は基本的に不可となりますので、法令をよく確認することが大切です。
ところで、警備業法第3条では警備業の欠格要件について定められています。
欠格要件にあてはまる場合は、そもそも警備業は認定されません。
法人の役員全員、個人事業主、警備員指導教育責任者がこの欠格要件の対象者となり、以下の要件にあてはまる人が一人でもいる場合には、そもそも警備会社を起業することができなくなってしまうので聞き取りなどでよく確認しておきましょう。
・認知能力に問題があって成年被後見人や被保佐人である
・破産してまだ復権を得ていない
・警察のお世話になった(執行猶予付きの場合も執行猶予があけるまでは欠格要件となる)
・警備業法に違反して罰金刑になった
・アルコール、麻薬、大麻、あへん、覚醒剤の中毒者
・未成年者(既婚者は成年者とみなす)
・心身の障害がある(医師の診断書により非対象となる可能性もある)
・現在暴力団員または暴力団員が影響力を持っている
起業(開業)手続き方法
欠格要件にあてはまらず、警備員指導教育責任者の資格を得たら、いよいよ警備会社を起業する手続きに入ります。
手続き方法は警備会社を法人で起業するのか、個人で起業するのかによって異なります。
法人の場合
警備会社を法人として起業する場合には、まず会社を設立する手続きをおこないます。
定款作成、会社登記、法人設立届出書などの準備が必要です。
会社を設立したら、次に警備業の許認可を受けなくてはなりません。
警備業の認定は公安委員会によるものなので、下記の書類を揃えたら会社の所在地を管轄する警察署に申請します。
1.本籍地記載の住民票の写し
2.履歴書
3.本籍地の市区町村が発行した身分証明書
4.医師の診断書
5.欠格事由に該当しない旨の誓約書
6.業務を誠実に行う旨の誓約書
7.警備員指導教育責任者資格者証の写し
8.定款
9.登記事項証明書
他に認定手数料が23000円かかります。
1から4は監査役を含む役員全員と警備員指導教育責任者のものが必要です。
5は法人と警備員指導教育責任者のもの、6と7は警備員指導教育責任者のもののみ必要となります。
また8の定款は、目的に「警備業を営むこと」が記されていることが必要です。
認定または不認定の結果を得るまでには約40日かかりますので、準備期間として頭に入れておきましょう。
個人事業主の場合
個人事業主の場合は、会社設立のフローがなくなり、その後の流れは法人の場合とほぼ同じです。
必要書類は以下となります。
1.本籍地記載の住民票の写し
2.履歴書
3.本籍地の市区町村が発行した身分証明書
4.医師の診断書
5.欠格事由に該当しない旨の誓約書
6.業務を誠実に行う旨の誓約書
7.警備員指導教育責任者資格者証の写し
このうち1から5は申請者と警備員指導教育責任者のもの、6と7は警備員指導教育責任者のもののみが必要となります。
認定手数料23000円を添えて、住所地を管轄する警察署に申請してください。
警備会社起業後はGUARD EXPRESSで効率化!
無事に警備会社としての認定を受け、警備会社を起業したら「GUARD EXPRESS(ガードエクスプレス)」で業務を効率化しましょう。
ガードエクスプレスは、警備業向けの基幹業務システムです。
勤怠管理や給与計算に代表される多くの事務作業をシステムで自動化することができるので、事務員の雇用などにかかる人件費コストを圧倒的に抑えることができるでしょう。
起業してすぐ、あるいは起業の準備段階からシステムを導入しておけば、起業直後の忙しい時期に余計な事務作業で時間をとられることなく、効率的に仕事を進められます。
よく最初に会計システムだけ導入して勤怠管理はエクセルシートで管理するなどのやり方をしたり、業務が軌道に乗ってから基幹システムを導入しようなどと考えたりする方がいますが、あとからシステム導入する場合には移行作業に手間がかかってしまいます。
起業と同時にあらゆる業務を網羅した基幹システムを導入しておくことが、もっとも効率的でしょう。
ガードエクスプレスのナビゲーションメニューでは、警備業に関する業務がわかりやすくグルーピングされた状態で表示されます。
ナビゲーションメニューを見れば、起業してすぐの方でも警備会社の運営に関わる業務フローを俯瞰的に捉えることができるのです。
これにより業務の抜け漏れがなくなり、業務プロセスを効率化することにもつながります。
ガードエクスプレスはセキュリティ対策の万全なクラウドシステムなので、自社で特別にサーバを準備したり、サーバのセキュリティ対策にお金をかけなくても、警備会社特有の大切な情報を改ざんや漏洩から守ることが可能です。
クラウドシステムなのでどこからでもアクセスでき、起業直後でマンパワーが足りていなくても、移動中や自宅からなど好きなときに情報にアクセスし、業務を進められます。
わざわざ何かの資料を見るためだけに事務所に戻る必要はありません。
またガードエクスプレスでは、現場で働く警備員向けや顧客向けの付帯システムがあります。
警備員向けの付帯システムである「NEO(ネオ)」を利用すれば、警備員の上下番管理は電話でする必要はなく、アプリの打刻のみで完結できます。
顧客向けの付帯システムである「PATNER(パートナー)」は、ガードエクスプレスを導入するだけで無償提供されます。
ガードエクスプレスを導入してパートナーを利用すれば、御社の顧客は発注申請から契約照会、勤怠の承認、請求書の送付や照会に至るまでをペーパーレスにシステム上で行うことができます。
起業直後で警備先の顧客の開拓が大変なときには、ガードエクスプレスを導入していることが御社の強みとなり、成約率が上がったり、顧客満足度が上がったりする手助けとなるかもしれません。
まとめ
警備会社の起業に伴う手続きや資格についてご説明し、さらにおすすめの管理システムについてご紹介しました。
警備会社を起業した直後は人件費を極力抑えたいと考える経営者の方が多いと思いますが、ぜひその代わりにガードエクスプレスの導入をご検討ください。
事務作業にかかる人件費を抑え、ペーパーレス化によるコスト削減をし、効率的に警備会社を運営し、需要の高まる警備業界で飛躍することにつながるでしょう。